専門治療(高齢者のこころと脳の専門外来)

専門治療高齢者のこころと脳の専門外来

高齢者のこころと脳の専門外来

ただ薬による治療をするだけではなく
患者様のより良い人生のために何ができるのか
患者様やご家族とともに考え、治療や看護、支援を行います。

  • 物忘れがどんどん進んでいる
  • 認知症にならないか、心配
  • 眠れなくなってきた
  • 気持ちが沈む、やる気が出ない
  • 漠然とした不安がある
  • 思い込みが激しくなってきた

このような心配があれば、ぜひ当院にご相談ください。
ここで挙げたものは、一例です。ほかにも、気になることがあればお気軽にご相談ください。

人は、誰しも平等に年を重ねていきます。
年を重ねることで得られるものもあれば、老化によって新たな困難が生じたり、ライフステージの変化によって生じる悩みもあります。

老化した脳でおこりやすい病気と、それによって生じる症状

  • 1認知症
  • 2高齢者うつ
  • 3不眠症

「加齢のよる自然な変化」と、「老化した脳に生じやすい病気」は、区別が難しいことがあります。そのため高齢者のこころや脳の病気は、単純に年のせいとされがちで、見落とされることがあります。
「老化した脳に生じやすい病気」は、治療とリハビリにより悪化を防ぎ、改善が望めます。
「加齢による自然な変化」であっても、専門的な支援により、生活の不便を軽減させることが期待できます。

治療や支援が必要な問題なのか、まずはその判断を行うところから、当院の専門外来にお任せください。

  • 1認知症

「ちょっとした物忘れ」と、「病気による記憶障害」の差はなんでしょうか。当院では、専門の医師がこれらの判断を行っています。また、「認知症=物忘れ」と思われがちですが、認知症の症状には記憶の問題以外にも、たとえば以下のようなものがあります。

  • 性格変化(怒りっぽくなる、攻撃的になるなど)
  • 感情のコントロールが難しくなる(急に泣き出す、激怒するなど)
  • 幻聴や幻覚
  • 妄想
  • ものの使い方がわからなくなる

いずれも、認知症による症状の可能性があります。認知症の症状は、皆様が思っているより多彩です。「なんだかおかしいな」と思ったら、ぜひ一度ご相談ください。

認知症の治療と専門的リハビリテーションで期待できること

  • 残念ながら完治が難しい認知症であっても、早期発見と治療により、進行を遅らせる
  • 認知症に似た症状を示す別の病気を適切に見つけて治療し、回復を図る
  • イライラや不眠などの周辺症状を緩和することで、患者様の苦痛を減らし、介護を担うご家族等のご負担感を和らげる。その結果、心のこもった介護が行われやすくなる
  • 症状に応じた専門的リハビリテーションを行うことで、患者様の生活の質を高め、全身的健康度が改善し、認知症自体の進行も遅らせることが期待できる

MCIスクリーニング検査

MCIとは「軽度認知機能障害」のことで、認知症の前段階を指します。MCIスクリーニング検査は、このリスクをはかる血液検査です。この検査では、認知症の中で最多であるアルツハイマー病の原因物質とされるアミロイドベータペプチドに関して、その排除や毒性を弱める機能を持つ3つのタンパク質を調べることで、MCIのリスクを判定します。

検査をご希望の方はこちら

  • 2高齢者うつ

どんな人でも、つらいことや悲しいことがあれば、気持ちが沈みます。若い頃は発散できていたことも、年を重ねて体力的に衰え、仕事や家庭の環境も変わり、以前のようにうまく発散できなくなることがあります。「脳が老化」したことで、気持ちが沈みやすくなったり、自分ではうまく回復させられなくなることもあります。「昔はこんなこと、平気だったのに」と思うかもしれませんが、そのように悩む方は、珍しくありません。

気持ちが沈んだ状態が放置されると、脳の機能にまで影響し、時間がたっても立ち直れず、いつの間にか何もする気がなくなり、「うつ病」となってしまうことがあります。例えば、親友や配偶者を亡くせば、気持ちが沈み、落ち込むのは自然なことです。しかし、それも程度を越えて続くと、眠れなくなったり、食欲が落ちてほとんど食事を摂れなくなったり、何もする気が起きずに1日中寝て過ごすような状態になってしまいます。特に食欲低下で栄養が十分に摂れないと、低栄養による免疫機能低下へと至る危険もあります。「うつ病」にかかっている高齢者は、そうでない人と比べて認知症にかかる可能性が大幅に増加することもわかっています。

「うつ病」をできるだけ早く治すためには、専門的治療を受けることが望ましいです。一般的に治療開始が早ければ早いほど、治療にかかる期間も短くなります。自分や家族だけで頑張るのではなく、是非、できるだけ早く当院にご相談ください。

  • 3不眠症

高齢者の不眠には、様々な原因があります。特別な原因がなく眠れなくなってしまうこともあれば、高齢者うつによる不眠、なんらかの身体疾患に伴う不眠もあります。認知症や、脳機能の一時的な低下で睡眠リズムが崩れてしまうこともあります。また、歳を重ねると必要な睡眠量が自然と減少するため、治療する必要のない、自然な変化である睡眠短縮もあり得ます。
このような原因の判別には、専門的知識が必要です。治療を要する場合は、睡眠衛生指導や薬物療法を組み合わせ、治療を行います。

睡眠衛生教育プログラムのご案内

専門医からのアドバイス

年を重ねることで得られるもの

豊富な人生経験や、積み重ねてきた学習に裏打ちされた知識は、長い間ぐんぐん向上します。
この「知識力」は70歳頃からゆるやかに低下しますが、90歳まで年を重ねたとしても、比較すれば40歳よりも高い水準にあるとも言われます。

老化として起こる変化

穏やかで静かな生活になることで活動量が低下し、睡眠時間が短くなります。
「知識力」はぐんぐん向上しますが、判断力や思考のスピードは、若い人には敵いません。
ちょっとした物忘れも、増えてしまいます。
昔みたいなペースで歩くことは、難しいかもしれません。

ライフステージの変化

年を重ねるにつれ、自分の人生を見つめ直す機会が増えます。
また、周囲の方々も同様に年を重ねるため、悲しい別れが起こってしまうことがあります。
若い頃と同じようには動かない体や、以前は出来ていたことが出来なくなることで、つらい思いをすることもあるかもしれません。
子供がすっかり独立したり、仕事の第一線を退くことで、心にぽっかり穴が空いたような気持ちになる方もいます。

いくら年を重ねて経験が豊富になっても、一人でこのような悩みを解決するのは、大変です。