専門治療(クロザリル)

専門治療療抵抗性統合失調症に対する治療

療抵抗性統合失調症に対する治療

今までの薬では症状が十分に改善しなかった方
今までの薬が副作用で継続できなかった方
解決する可能性があります。

クロザピン(商品名:クロザリル)

当院では、クロザピン(商品名:クロザリル)による治療抵抗性統合失調症治療が可能です。
クロザピン(商品名:クロザリル)は統合失調症の治療に用いる特殊な内服薬であり、認定を受けた一部の医療機関でしか使用できません。

クロザピンとは

クロザピンは、アメリカやイギリスなどの世界100カ国以上で承認、使用されている統合失調症治療薬です。複数の薬剤を試しても治療効果が十分でなかった場合や、副作用により通常の薬剤を十分に継続できなかった場合を治療抵抗性と呼びますが、このような治療抵抗性統合失調症の患者様に対して一定の効果が認められている唯一の薬剤となります。
治療に難渋して何度も入退院を繰り返していたり、長期間の入院を要している方、多くの困難を抱えながらなんとか自宅生活をおくっている方、膨大な量の服薬を要している方などにとって、症状を改善してより良い生活へ導き、あるいは服薬量の軽減をはかることのできる「切り札」とも言える薬剤であると、我々は考えています。
また、統合失調症患者様の自殺リスクを減らしたり、衝動性や他害行為の軽減などの効果があることもわかっています。

クロザピンの副作用

このようにクロザピンの有効性は非常に高いですが、広く使用されないことには理由があります。「無顆粒球症」や「心筋炎」といった、他の薬剤では生じにくい重篤な副作用が発生する可能性があるからです。これらが生じた場合は精神科病院だけでは対応できないことがあり、そのような場合は血液内科などの他科と協力して治療にあたる必要があります。当院には血液内科医師が常駐しているため、副作用発生の兆しにいち早く気付き、もし発生した場合にも適切な初期治療を提供することが可能です。
また、副作用の発生をすみやかに発見するため、定期的な血液検査が必須となっています。

このような説明を見ると「怖い薬だ」と思われるかもしれませんが、例えばクロザピンによる「無顆粒球症」の日本における発症頻度は1%程度であり、死亡例の報告はありません。総合的には、クロザピンは他の統合失調症治療薬と比較して死亡率が最も低いことが知られています。

クロザリル患者モニタリングサービス(CPMS)とは

クロザピン(商品名:クロザリル)を販売しているノバルティスファーマ内にもうけられた仕組みで、クロザピンを安全に使用することを目的としています。クロザピン処方に関わる医師や薬剤師、看護師は所定の講習を受け、クロザピンの安全使用に関する知識を適切に習得し、CPMSへ登録されることが必須とされています。処方する医師は原則として専門医に相当する知識が求められ、登録にあたっては審査があります。処方する医療機関や薬局もCPMSに登録されたものに限られており、クロザピン処方は全例がCPMSで把握されるようになっています。ただし、患者様の氏名や住所など、個人を特定できる情報は登録されません。
副作用早期発見のための血液検査は毎回の処方にあたって条件とされており、定められた間隔での血液検査結果をCPMSに送信しないと、クロザピンの処方はできません。
このようにクロザピンの使用は厳格に管理されています。当院(院内薬局を含む)はこれらの要件を満たしており、クロザピンを処方可能な医療機関です。

クロザピンを開始するには

クロザピンはこのように特殊な薬剤のため、新規に開始するためには原則として18週間の入院が必要とされています。最も注意すべき副作用である無顆粒球症が、クロザピン開始後18週間以内に発生することが多いため、このような期間が設定されています。クロザピン開始前の検査や既存薬剤の整理も含めると、半年弱の入院を要するケースが多いです。ただし、いくつかの条件を満たすことで数ヶ月での退院が可能となる場合があります。

外来治療

入院でクロザピンを導入したあとは、外来で継続して処方を受けることになります。当院以外の外来へ通院することも可能ですが、クロザピンを処方可能な医療機関は限られています。統合失調症の症状や薬剤副作用の傾向には個人差が強いこともあり、当院外来での治療継続をお勧めしています。
また、クロザピン内服開始後の期間や状況に応じて1~4週間間隔での血液検査が必須となっており、この期間に応じた外来受診が必要となります。

※クロザピンに関しては、様々な条件や注意事項がございます。
クロザピン治療をご検討の方は、まずは当院にご相談ください。説明を受けるためだけの受診も可能です。「クロザピン治療希望」あるいは「クロザピン治療に関する説明希望」とお申し付けください。
※他院通院中の場合は、当院から主治医へ治療状況の確認をさせていただく場合があります。